
お酢は健康・美容に良いというイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか。またたくさんあるお酢の種類の違いで栄養成分やカロリー、健康・美容への影響が変わるのでしょうか。そんな疑問を、科学的に解明していきます。
お酢の種類別栄養素・カロリー比較
まずは食品成分表をもとに、お酢の7つの種類に含まれている栄養素とカロリーを一覧で比較してみましょう。
カロリー | 糖質 | 脂質 | たんぱく質 | 食物繊維 | 塩分 | |
穀物酢 | 25kcal | 2.4g | 0g | 0.1g | 0g | 0g |
米酢 | 46 kcal l | 7.4 g | 0g | 0.2g | 0g | 0g |
ぶどう酢 | 22 kcal | 1.2 g | 少 | 0.1g | 0g | 0g |
りんご酢 | 26 kcal | 2.4 g | 0g | 0.1g | 0g | 0g |
黒酢 | 54 kcal | 9.0 g | 0g | 1.0g | 0g | 0g |
バルサミコ酢 | 99 kcal | 19.4 g | 0g | 0.5g | 0g | 0.1g |
すし酢/ちらし・稲荷用 | 150 kcal | 34.9 g | 0g | 0.1g | 0g | 6.5g |
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
※全て100gあたり
お酢に期待できる美容・健康への働き
では次に、美容・健康への働きについて5つ解説していきます。
腎臓への影響
ある研究において、酢を毎日摂取することで、そうでない群と比較すると尿中のクエン酸排泄量が多く、同じく尿中のカルシウム排泄量が少なくなる結果が報告されています。この研究報告では、腎臓のシュウ酸カルシウムが結晶することを防ぎ、シュウ酸カルシウム腎結石予防になると考えられています。
参考:Dietary vinegar prevents kidney stone recurrence via epigenetic regulations
高血圧への影響
塩分が他の調味料よりも低い分、ナトリウム摂取量が抑えられます。高血圧の主な原因として食塩といわれているので、お酢を活用することで食塩そのものの摂取を減らせるメリットがあります。また様々な研究結果も報告されており、以下で2つ紹介します。
酢の消費量が1日30mlまで取れば取るほど最大血圧が3.25mmHg減少し、最低血圧が3.33mmHg減少したという研究報告があります。
参考:Dose-dependent effect of vinegar on blood pressure: A GRADE-assessed systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
また、鹿児島県垂水市出身における40歳以上の男性257名・女性489名、計746名に対して、1ヶ月の酢の物・漬物の摂取によって血圧がどう変わるのか研究した結果、男性において酢の物を食べるが漬物を食べないことは血圧に影響していたという研究報告もあります。
※簡易型自記式食事履歴アンケートで行っているため、多少のバイアスはあるかと考えます。
※研究対象者のうち、男性約14%、女性約6%が酢の物を食べていなかったとされています。
※女性では有意な血圧変動が見られてなかったとされています。
参考:Association of blood pressure and dietary intake of Sunomono, Japanese vinegared side dishes, in community-dwelling Japanese: A cross-sectional study
内臓脂肪への影響
ダイエットにも関連する内臓脂肪量。実は、2型糖尿病と高脂血症の方に対してりんご酢が内臓脂肪に与える影響についての研究報告があります。2型糖尿病と高脂血症である70名の方に対して、8週間1日20mlりんご酢を飲んだ研究で、結果、介入していない群と比較すると食後血糖値指数が大幅に減少したとされています。
参考:The effect of apple vinegar consumption on glycemic indices, blood pressure, oxidative stress, and homocysteine in patients with type 2 diabetes and dyslipidemia: A randomized controlled clinical trial
疲労への影響
よく挙げられている酢の働きとしても有名な疲労への影響ですが、下記のような研究報告があります。22名の参加者が高強度サイクルパフォーマンス中に酢を摂取することで、総疲労時間と平均心拍数がどのように変化するのかを追った研究です。ドリンクパターンは以下の4つをランダムに取っています。その結果、有意差は見られなかったそうです。
<ドリンクパターン>
お酢29mL+水451ml、(2)スクロース39g+水441ml、(3) お酢29ml+スクロース39g+水412ml、(4)480ml水のみ
参考:The Effect of Vinegar Supplementation on High-Intensity Cycling Performance within Recreationally Trained Individuals
むくみへの影響
高血圧と同じ理由ではありますが、ナトリウムをとりすぎるとむくみにつながります。そのため、塩分が比較的少ないお酢を活用することで料理全体の塩分を減らし、むくみから卒業できる可能性も考えられます。
お酢で心も身体も健康に美しくなる!
お酢の種類によって栄養成分やカロリーが異なり、場合によっては身体への健康・美容の影響も異なることがわかりました。大切なのは、人の身体は個人差が大きいということです。良い結果がある研究報告の内容だからといって、あなたの身体に合うか合わないかはやってみないとわかりません。そのことに十分留意して、お酢ライフで心身ともに健康に美しくなりましょう!
【参考】
・厚生労働省|e-ヘルスネット|乳酸|https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-045.html