
「酢酸菌って聞いたことあるけど、一体何もの?」「どんな発酵食品があるのか知りたい!」方も多いのではないでしょうか。酢酸菌とは何か、酢酸菌による発酵食品を管理栄養士・お酢の伝道師marieが解説します。最後には酢酸菌がしっかり働いて造られた米酢を使用したレシピがあるので、ぜひお試しくださいませ。
酢酸菌とは
酢酸発酵によって、酢酸(CH3COOH)を生み出す微生物をいいます。空気中や花、蜂蜜など自然界に存在しています。数百年続く醸造酢蔵元では、創業時からのかめ壺や木桶に染み付いた酢酸菌が蔵元独自の味わいを醸し出しているといわれているのです。
酢酸菌が関与する発酵食品
酢酸菌によってつくられる発酵食品はいくつかあります。以下では5つご紹介します。
純米酢
本当に純粋な純米酢の原料は米のみです。昔ながらの造り方において純米酢は、米から麹づくりを行い、そこに酵母を添加してお酒(いわゆるもろみ)を造ります。その後、酢酸菌を付与し発酵・熟成させて完成です。酵母や酢酸菌を添加しなくても自然の力で発酵できる伝統製法の造り方や伝統的な醸造酢蔵元も存在します。
米 米麹 酵母 →アルコール(もろみ)+酢酸菌 →酢
黒酢
JAS法の規定によると下記が米黒酢と名乗れる条件になっています。
穀物酢(JAS規定の条件を満たしたもの)のうち,原材料として米(玄米のぬか層の全部を取り除いて精白したものを除く。以下同じ。)又はこれに小麦若しくは大麦を加えたもののみを使用したもので,米の使用量が穀物酢1L につき 180 g 以上であって,かつ,発酵及び熟成によって褐色又は黒褐色に着色したもの。
http://www.shokusu.org/20200116_1.pdfより引用
黒酢の色は玄米の削り方や発酵・熟成期間、酢酸菌の状態によって異なります。同じ醸造酢蔵元の同じ黒酢であっても、天然発酵のものは毎年商品の色が若干変化するのは仕方ありません。「色が薄いから栄養素が少ない」という訳ではないのです。表面的なもので判断するのではなく、製造過程を理解しましょう。
ナタデココ
酢酸菌の一種であるナタ菌によって造られるのがナタデココです。生のココナッツ水からつくるフィリピンの発酵食品として日本でも一時期ブームとなりました。実はこのナタデココは、食酢をつくる際にも発生するセルロースでもあるのです。
コンブチャ
昆布茶ではなく、一時期流行った紅茶キノコが酢酸菌によって造られています。砂糖入りのお茶を部分発酵されたものです。「コンブチャ=身体に良い」イメージがあるかもしれませんが、かなり両極端な意見があるのが事実です。正しい健康情報と、あなたの身体にとって良いものなのか取捨選択を行うと良いでしょう。
カスピ海ヨーグルト
通常のヨーグルトは乳酸菌発酵が多いですが、カスピ海ヨーグルトは酢酸菌も関わっています。具体的にはクレモリス菌とアセトバクター桿菌などによって造られています。
酢酸発酵された伝統製法で造られた米酢を使ったレシピ
以下では伝統製法醸造酢を使用したレシピです。画像をクリックすると閲覧可能です。
酢酸菌はいろんな種類と発酵食品がある!
ご紹介したように酢酸菌と一言で言っても、いくつかの種類があります。酢酸菌が異なると、生み出される発酵食品も異なります。発酵食品が必ず良いとは限りません。あなたの身体との相性が良いのかが大切です。いろいろ試してみて「美味しいな」「これなら続けられるな」「なんだか自分に合っているかもしれない」と思える酢酸発酵食品と出会いましょう。
【参考】
・酢酸菌利用の歴史と食文化|外内尚人|味の素株式会社バイオ・ファイン研究所|https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslab/26/1/26_6/_pdf/-char/ja
・オーム社|発酵の技法
・家森幸男著|やっぱりすごい!カスピ海ヨーグルトの健康力